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RCAケーブルの結線方法について

公開日: : ケーブル

2020年から新商品として、オーディオケーブルを取り扱いさせていただいています。すべて当方が自作したオリジナルケーブルです。昔から自分のオーディオセットのケーブルは自作することが多かったのですが、販売するにあたり、いろいろと基本から調べ直して、あらためていろいろなことが分かりました。

有名メーカーだとケーブル自体をカスタムオーダーしたりオリジナル設計の物がありますが、ショップ・オリジナルのインターコネクトケーブルや自作の物は多くが2芯シールドのマイクケーブルを流用して作られていることが多いです。でも市販されている安価な部類のRCAケーブルはほぼすべてが1芯シールドケーブルです。写真は、昔(20年以上前)買った有名メーカーの普通よりちょっといいかな程度のオーディオケーブルの断面ですが、ご覧の通り中心に導体1本の同軸構造です。付属の赤白ケーブルもほぼすべてコレ。基本的にはこれで良いのです。

では、アンテナ線などの同軸ケーブルがそのまま音声用に使えるのか? というと一概にそういうわけではなく(まあとりあえず音は出ますが)、オーディオ用の低容量の1芯シールドケーブルというのが適しています。CANAREだとGS-6、mogamiなら2964がそれにあたります。実はBELDENの8410も、今ではギターシールド用みたいな扱いですが、もともとはクリスタルやリボン・マイク用のケーブル(アンバランス・マイク・ケーブル)として発売されたものです。(1950年ごろ)

そんなRCAケーブルに2芯シールドを使う理由はどこにあるのでしょう? 単純に「高性能なマイクケーブルがあるのだからそれを流用しよう」ということだけではないようです。2芯シールドを使ったいくつかの結線方法が知られています。

タイプSは、1芯シールドケーブルによる通常のRCAケーブル。

タイプAは、2芯シールドケーブルの2本の導体を束ねてホットに接続したもの。

タイプBは、片方の導体を使わず切断して配線しない状態のもの。

タイプCは、片側のシールドを接続しない、いわゆる「片側アース」などと言われているもの。

タイプDは、導体の1本をホットに、もう1本の導体は両端ともシールドと束ねてコールドと接続したもの。

2芯シールドケーブルのRCA/アンバランスケーブルの配線には大別してA~Dの4種類がありますが、 

タイプAは、ギターシールドなんかで勧める方が多いですね。激しく引き回して万が一1本が断線しても音が出る、みたいな理由もあるようですが、オーディオ用として試作した印象だと、結果的に導体が太くなることになるのでケーブルによっては力強さを増すような気がしました。あくまでケーブルにもよりますが、これはこれで悪くない感じです。

タイプBは、アンバラは導体1本とシールドがあればいいので、1本はムダ、との発想から。これも別に悪くは無いと思いますが、配線としてはSと同じなので、お使いのケーブルの導体やその他の材料の材質・構造に特別な理由が無い限りそれほど意味が無いということになると思います。

タイプCは、米国のマニアの間で主流となっている配線のようで、国内でもこの配線で販売しているメーカーやショップがあります。片側のシールドを接続しないことで、シールドで受けた外来ノイズが信号に混じらずに接地側に送られ、信号もシールドではなく導体のみに通るので良い、なんていう利点があるようですが、シールドを別ラインでアースにつなげるならともかく、コネクターで合流するのでその点は効果は薄いのではないかと個人的には思います。

そして、タイプDが現在当店で出品しているRCAケーブルに基本的に採用している配線です。日本では最も一般的で多くの方が自作の際に採用している配線方法です。この配線の大きな弱点とされているのが『アースループ』。システムによってはアースループが生じてノイズが増えるという点にあるのですが、逆に「アースループさえ生じなければ、総合的に最も優れた配線方法」と判断しました。

ここに至るまで、果たしてどの配線が正解なのか大いに悩み続けていましたが、今回タイプD配線でいこうと決めたのは、やっとちゃんとした参考文献に巡り会えたからです。それがこの本、ヘンリー W.オット著(Henrry W. Ott)『Noise Reduction Techniques in Electronic Systems(電子システムのノイズ低減技法)』、コンピュータやホームエンタテインメント、通信機器、軍事システム、航空システムでのノイズ低減技法を徹底解説した専門書です。

ISBN-10 : 0471850683
ISBN-13 : 978-0471850687

著者であるオット氏は元ベル研究所の研究員で、EMCの分野では40年以上のキャリアを持つ専門家、またIEEE EMC Societyの名誉会員でもあります。1988年の第二版の58-59ページが、米国のマニアの間でバイブル的になっているそうで、いくつかの接続方法のノイズテストの結果が図解入りで示されています。すくなくともオーディオケーブルの配線に関して実験データを示して理論的に解説したものは私は初めて見ましたので、まさに目から鱗でした。

IEEE EMC Societyのオット氏を紹介したページ(一番最初に紹介されている人物)

この本は、2013年に全面改定された第三版が日本語版でも出ていますので、気になる方は<第2章 ケーブル配線>だけでも一読されてはいかがでしょうか。(私のような素人では難解でなかなか読み進みませんが…)

オット氏の著書 第三版 日本語版『詳解 EMC工学 実践ノイズ低減技法』東京電機大学出版
ISBN 978-4501329709

ただ、最近いくつか有名メーカーの1万円前後のケーブルを購入してみたのですが、意外とタイプCの配線で販売しているのがあるのでちょっと驚きました。カタログにもHPにも『片側アース』的な説明は書いてないんですけどね。いつのまにかタイプCが主流のようになってしまっているのでしょうか。購入した方が知らずに使うのは良くないと思うのですが。このへんはもう少し調べないといけないようです。

以上、ケーブル選びの際の参考にしていただければ幸いです。

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